しま はちねこの本棚

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光る君へ第二十九話 「母として」感想

名作 枕草子の完成

 

後の世まで語り継がれるよう私が書き残しておこうと思いましたの。

末永く残るように。

 

枕草子がついに完成しました。それは清少納言の想い通り、1000年の時を越えて今なお中宮定子の聡明で輝いていた日々を人々に伝えています。

ただひたすら純粋で強い想いが形作った枕草子。直接口に出さずとも、想いと文字が人の心を動かし政治すら変える力を持つとは、月並みな表現ながら本当にすごいですよね。

まさに「ペンは剣より強し」。この場合は筆ですが。

 

しかしながら、中宮定子の影の部分も知りたいと言ってしまったまひろ。倫子のサロンでようやく空気を読むことができるようになったかと思いきや、まだ天性の悪癖が出てしまいました。

経験したことのないことを他人の立場になって慮ることは難しいことではありますが、まさに天地がひっくり返ったような中宮定子と清少納言の境遇はまさしく黒歴史。触れたくないに決まっています笑。よりによってききょうの目の前で言わなくても。

皇后様に影などない

華やかな姿だけを人々の心に残したい

ききょうの語気が強くなるのも分かります。

 

続けて、左大臣は恐ろしき人とききょうが話していました。

確かに中宮定子サイドからするとこちらが被害者であり嫌がらせをされたともとれますが、やはり政治が立ち行かなくなり民に損害が出ている限りは道長のしたことは間違いではなかったと思います。やり方はどうであれ。

清少納言は全てを理解しながらも虚勢として枕草子を書くことで中宮定子を守ったものだと何となく思っていたので、光る君へでの清少納言 ききょうは意外とダークサイドよりだなと感じました。

いや、道長政治を批難する目的で書いたにしては、枕草子はあまりに柔らかく美しかったので。

それも策略なのかも。

 

そして、

月が綺麗だ

と笑っておられた藤原宣孝が身罷られました。

豪放で快活であった姿だけを残したいという北の方さまの使者の言葉で、まひろも思うところがあったのでは。

藤原宣孝のよいところ、癖。前回遅くまで筆を滑らせて書いていましたよね。

派手な喧嘩も不実なこともしたけれど、やはり藤原宣孝といえばまさしく陽の部分が思い返される素敵な人物でした。亡くなってなお影の部分を知りたいなど、宣孝には似合いません。

 

宣孝の死と時期を近くして、藤原為時が官職を失ってしまいました。為時一家、4年ぶり2度目の貧困か!?と思われたところで、道長のナイスアシスト。しかし道長息子の指南役を断ってしまう為時。

まひろの気持ちを思うと、北の方さまの息子の指南はちょっと……。ねぇ……。との弁でしたが、ここでまひろの母としての覚悟が明らかでした。

自身の気まずさよりも幼い娘の将来を優先し、為時を叱咤します。育ての父である宣孝亡き後、タイトルどおり母としての強さから出た思いでしょう。

為時邸をこっそり抜け出して散楽を見に行っていた恐れ知らずのまひろではもうないのですね。

しかしながら為時もまた、自身と家よりも娘まひろの気持ちを優先した心優しき父親だったのです。

 

 

場面変わって、雅楽を奏でている方々の衣装の美しさに惚れ惚れしました。

史書が残っていてよかった。それを解読して現代に伝えてくれる人がいてよかった。今後も大切に語り継ぎたい美しい文化です。大河ドラマで実際に拝見できてとても嬉しかったです。

それにしても源叔父さんの緊張した顔、子供の発表会ってこんな感じよねとなんだか微笑ましくなりました。

 

その裏では妻たちは目線でバトルを繰り広げ、まるで火花が散っているようでした。

 

 

この回、伊周が道長をめちゃくちゃ呪詛しているのも印象的でした。伊周は出てくる度に道長を批難したり呪ったり、道長に対するエネルギーが強いこと。

この大河ドラマ、初期からかなりフランクに呪詛していますね。方針が変わらなくて安心すらします。

安倍晴明がメインキャラクターとしているので、当然ではあります。

イチ視聴者からするとまじないや占い、呪詛っていろんな種類があるんだなと教えてもらえているようでとても興味深いです。

 

 

さて、次回予告もとても気になる描写がたくさんありました。

書き始めた物語は源氏物語か? 

燃えていたのは源氏物語か?

 

道長くん、一丁前にヒゲなんて生やしていましたし、来週が楽しみです。


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それでは次回の記事でまた。

 

しま はちねこ