中宮様のために新しい物語を書いてくれぬか
帝のお渡りもなく
親として可愛そうなのだ
左大臣様直々のまひろへの依頼。中宮様を労るために物語を書いてほしいとのことでした。
為時邸から帰る時、また参るといった道長の顔、これからまひろと定期的に会う口実を見つけて嬉しそうにも見えましたね。
それにしても前回に引き続きあかね(和泉式部)の溌剌として色っぽい感じ、爽やかな青がよくお似合いだこと。魅力的なキャラクターです。
あかねとの枕草子の話から、皇后様の影の部分も知りたいと言った黒歴史が回想されていて胸が苦しくなり申した。共感性羞恥に近いものかもしれません。
回想シーン該当回の感想はこちら↓
道長くんは倫子とギスギスしていて土御門殿に居場所なく、明子も道長にイライラしていて気まずいし、道長くんには二人も妻がいるのにどちらとも関係性が良くない。まひろちゃんは道長に寄り添える余裕があるし、道長は完全にまひろちゃんへ意識が向く。それもまひろが持っている運の流れかもしれないとも思いました。
その夜、晩酌を交わしながら自分らしさについて語る姉弟。まひろらしさについてどう思うか尋ねられ、
難しいなあ〜〜そうやってややこしいところ、根が暗くて、鬱陶しいところ!
とハッキリ言い抜いたくせに、
怒るなっていったでしょ!?とすがる様子が弟っぽくて可愛いなぁと思いました。(笑)
真宙さん演じるまひろの弟、可愛くて憎たらしくて危なっかしくて大好きです。
そして史実として謎であった部分ですが、やはり、紙の提供者は道長くんでしたか。しかも越前の上質な紙。道長くん、実はね、越前の紙に歌や物語を書きたいってその話をした夜に賢子を身ごもりましてね。きみはまだピンときてないみたいだけど。
俺の願いを初めて聞いてくれたな。
目を見て伝える道長くん、言葉がまっすぐ届きます。嬉しいんだよね。言ってくれて、ありがとう。
でもね、
中宮さまへの物語じゃないでしょ〜?もう〜!
ごめん、本当は帝に献上しようと思って……
って、エエ〜ッ!!!物語を提供するってこと自体が偽りかと思いきや、中宮さまどころか帝に献上かい!!それは正直に言っとけ!とツッコみたくなりましたが、道長くんの心境を分かっているまひろちゃんにとっては、まひろちゃんを政治の道具にするわけではなくまひろちゃんを想っての行動とピンと来てしまうのですね。
やはり一条天皇に関するあらゆる人々が源氏物語のモデル。人間らしい嫉妬や愛は、時代に沿ったリアリティがありすぎますものね。まひろの人生、道長くんの人生、帝の人生。いろんな人物の思いや経験が複雑に交差し反応して生まれるアイデアがあったのでしょうね。
人とは。
これを深く考え抜いた結果が、あの名作 源氏物語になるのですね。
明るく柔らかな月の光が二人を導くようで。でも月のように手に入らないものを二人眺めている様が切なくなりました。本当に欲しいものはすぐそばにあるのに。手を伸ばすだけでいいのに。
それから。
まひろちゃんにひとひら、ひとひら、色とりどりの物語がまさしく文字通り降ってきた様子は、源氏物語と紫式部の誕生を祝福するようで心が踊りました。ああ、この瞬間を見たかったのわたしたち。この地球に源氏物語が影も形もないところから、生まれて1000年も語り継がれている歴史の始まり。
丁寧に織られた本がプレゼントのようで、願いを託されたその文字が帝のお手に渡ったときに奇跡すら感じました。書くだけでは意味がない。人の手に渡り、心の深くに入り込み、悩ませたから、この時代まで残っているのです。
わたし、まひろちゃんの字大好きです。
実は先日、京都は宇治の「光る君へ展」に伺いまして、実際に劇中で使用された衣装や文を見て参りました。
画面では伝わりにくいのですが、まひろちゃんの字は細いながら芯がまっすぐ通っていて、意志の強さを感じます。利き手ではない方で書かれているとは思えないほどの達筆でした。
写真が撮れないエリアもありましたが、近くで見られるだけで満たされました。
京都の宇治に行かれる方はぜひ。
いざ、紫式部としての出仕。ああこれから物語は続くのね。紫式部としての人生が動き出す次回、頑張れ、まひろちゃん!!
それではまた次回の記事で。
しま はちねこ